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【行ってみた!】松島・秋保温泉③|秋保温泉でゆっくり 親孝行2泊3日
秋保温泉の白濁した湯に浸かる親子

松島を訪ねた旅の後半は、秋保温泉へ。ここでは観光地を巡るのではなく、温泉に浸かってゆっくり過ごす時間が主役だった。若い頃は「旅行に来たなら、もっといろいろ見なければ」と思い込んでいたけれど、今は違う。何かを見に行くわけでもなく、どこかへ急ぐわけでもない。ただ親と一緒に旅の時間を重ねることそのものが、やがて思い出になっていくのだと気がついた。

秋保温泉へ、松島の次の目的地

松島で初めて目にした景色。塩釜ですし哲で食べた寿司の味わい。そこからほど近い秋保温泉へ。宮城県の北西部に位置するこの温泉地は、かつて伊達藩の湯治場として栄えた由緒ある地である。今回の旅は、そうした歴史背景を学ぶためというより、単に「親と一緒に泊まる」という目的がメインだった。秋保温泉へ向かう車窓から見える景色は、10月下旬の仙台地方特有の、少しくすんだ秋の陽射しを浴びていた。道路脇には紅葉が進み始めた樹々が立ち並んでいて、時折その香りのようなものが、開けた窓から流れ込んできた気がする。温泉街に着くと、思っていたより静かだった。大型の観光施設が立ち並ぶというわけではなく、むしろ落ち着いた雰囲気の旅館や小さな温泉宿が、山間の谷間に点在しているような造りになっている。

秋保温泉の谷間に佇む旅館群

白濁した湯に浸かる、何もしない時間

秋保温泉に着いて最初にしたことは、温泉に浸かることだった。旅館の大浴場へ向かう通路を歩いていると、湯気が漂ってくるのが感じられた。その湯気の先にあるのは、白濁した湯。秋保温泉の湯は、含硫黄・含鉄泉で知られているのだが、実際に目にしてみると、その白さがまず目を引く。体を湯に沈めた瞬間、肌に伝わる温かさと、ほのかに香る硫黄の匂いが、これまでの旅の疲れを一気に流し去ってくれるような感覚があった。若い頃なら、「温泉に入ったら、さっさと出かけて何か見に行かなければ」と思い込んでいたに違いない。でも今は違う。湯に浸かったままぼんやりと天井を眺める時間も、立派な旅の時間なのだということが、なんの違和感もなく理解できるようになっていた。親もまた、同じような気持ちで湯に浸かっていたのだろう。大浴場から出たあと、そっと目が合った時の親の表情が、何もかもを物語っていた。

松島を眺める親の後ろ姿

食卓を囲んで、思い出を重ねる

旅の間の食事も、また大事な時間だった。旅館での夕食は、地元の食材を使った懐石のような構成で、一皿ずつ運ばれてくる。栗ご飯、山菜の天ぷら、川魚の塩焼き。秋という季節そのものが、一つ一つの皿の上に表現されているようだった。食べながら、親と松島での話をする。塩釜で食べたすし哲の握りの話。初めて見た松島の景色がどう感じられたか。そういった何気ない会話の積み重ねが、いつの間にか家族の思い出へと変わっていくのだということを、改めて感じさせられた。朝食もまた、地元の卵や野菜をふんだんに使ったもので、何の装飾もない、素朴な味わいの中に、作り手の丁寧さが感じられた。

秋の味わいが詰まった懐石料理

旅の意味を改めて考える

今回の旅を振り返ると、特別なことをしたわけではない。松島を一緒に見た。塩釜で寿司を食べた。秋保温泉に泊まって、温泉に入った。それだけなのだ。でも、その「それだけ」が、実はとても大事なことなのかもしれない。子どもの頃は親が旅の計画を立てて、自分たちを連れて行ってくれた。今回は自分が計画を立て、親と一緒に出かけた。立場が少し変わったことを、この旅で改めて実感した。親と一緒に旅ができる時間は、思っているより長くないのだろう。だからこそ「いつか行こう」ではなく、「行けるときに一緒に行く」。そう思えるようになったことが、この旅で一番得られたものなのかもしれない。

無理なく楽しむヒント

秋保温泉での滞在は、無理に観光地を巡ろうとするより、宿でのんびり過ごすのが正解だと感じた。温泉の温度は結構熱めなので、何度も入るなら短めに分割するのがおすすめ。秋から冬への季節の変わり目は朝夕が冷え込むため、薄手の上着があると便利。また、親世代との旅であれば、食事の時間を大切にすること。その時間が、後々の思い出として最も鮮明に残るのだと今回の旅で気がついた。

大人旅のひとこと

人生の中で、親と一緒に旅ができる時間というのは、思っているより限られているのかもしれない。若い頃は何度も一緒に旅できると思い込んでいるものだけれど、気がつくと季節は移ろい、年月は経つ。秋保温泉で温泉に浸かりながら、そんなことを ふと考えていた。松島の景色を親と一緒に眺めたこと、塩釜の寿司を食べたこと、温泉の湯に浸かったこと。それらはすべて、一度きりの時間なのだ。その一度きりの時間を、できるだけていねいに、一緒に重ねていくこと。それが、やがて親孝行と呼ばれるものになるのではないだろうか。何か特別なことをすることではなく、ともに時間を過ごすこと。そのシンプルさの中に、人生の大事なことが詰まっているような気がしてならない。

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