

松島への旅を計画したとき、何度も心に浮かんだのは「このあたりで海のものが食べたい」ということでした。せっかくここまで足を運んだのだから、と考えるのは旅人の常でしょう。そこで白羽の矢が立ったのが、塩釜の寿司店「すし哲」。塩釜は古くからマグロの街として知られ、日本三大漁場の一つとされている場所です。親と一緒の旅だからこそ、こうした寄り道も楽しめるのだと気づかせてくれた訪問となりました。
塩釜の港町の空気を吸う
松島での滞在を終えて、塩釜へ足を延ばすことにしたのは、そこまで難しい移動ではなかったからです。ただし、計画に少しの余裕があってこそ、という条件がついていました。朝夕の移動時間は決まっていても、昼間のスケジュールに若干のゆとりがあると、こういう寄り道が可能になるのだんである。予定をぎっちり詰めてしまう旅もあります。でも今回は、そうしたやり方ではなかった。そのおかげで、塩釜というまた別の町の空気を吸うことができました。塩釜の街並みを歩いていると、やはり漁業で生きてきた町の匂いが色濃く漂っている。朝の時間帯だったからか、港の周辺には、漁から戻ったばかりの船がいくつか係留されていました。その船たちが荷をおろす音、セリの掛け声らしき声が聞こえてくる。そうした日常の営みの中に、ふいに自分たちが入り込んでいく感覚。旅とはそういうものなのだと、あらためて思わされるのです。

すし哲でのカウンター体験
松島からここまで来たのだから、やはり海の味を知りたい。そういう気持ちで「すし哲」の暖簾をくぐりました。セットメニューもあるのでしょうが、今回は違う楽しみ方を選ぶことにしたのです。その場で食べたいネタを、好みで一つずつ注文していく。カウンター越しに職人さんと顔を合わせながら、「次は何にしようか」と考える時間。それは、ただ寿司を食べているだけではなく、一種のコミュニケーションのようなものでした。握られたばかりのネタが目の前に置かれる。新鮮な海苔の香りと、シャリの酢の香りが合わさった、なんともいえない香りが鼻をくすぐります。親と一緒に、次々と異なるネタを食べ進めていく。「これはいいね」とか「この貝、甘いな」とか、そうした会話が自然と生まれるのです。旅の食事というのは、そうした時間の積み重ねなのだと感じました。

旅の思い出は金銭では測れない
会計を済ませたとき、最初の感覚は「少し高かったかな」というものでした。普段の食生活の中では、なかなかこういう食べ方はしません。そうなると、自然と値段のことも意識してしまうわけです。ですが、旅行中の食事というのは、ただの栄養補給とは異なります。「せっかくここまで来たのだから」という想いが、そこに加わるのです。さらに、誰と食べるかというのも重要です。親と一緒に、新鮮な海の幸を前にして、ああだこうだと言い合いながら食べる。そうした体験の価値は、金銭では測れない部分があるのだと思います。この食事が2泊3日の松島旅行のアクセントになった。塩釜を訪ねて、すし哲でお寿司を食べたという事実が、旅全体の色合いを変えてくれたのです。帰路に着く頃になると、「あの時のあの寿司、うまかったな」という記憶が、ぼんやりと浮かんでくるのだと思います。

無理なく楽しむヒント
松島から塩釜への移動は、事前にしっかり調べておくと時間ロスが少なくなります。車の場合は約30分程度。公共交通機関を使う場合は、松島海岸駅からJRで塩釜駅まで行くのが一般的です。秋口の季節なら、朝の空気が気持ちいいので、早めに出発して港を散歩するのも良いでしょう。寿司店はどうしても昼間の営業時間帯に混みやすいので、少し早めの時間帯に訪れるのをお勧めします。親と一緒の旅なら、無理のないスケジュール作りが何より大切です。
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