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函館山ロープウェイからの夜景、湾沿いの光が宝石のように輝く

東京駅を朝10時45分に出た新幹線はやぶさは、午後3時ちょうどに新函館北斗に滑り込んだ。車窓から見える青森の山々が段々と北へ向かう実感を与えてくれる。函館市内へ車で移動し、夕方16時台に宿へ到着。さあ、これからだ。夜景の町・函館を手探りで歩く夜が始まる。

新幹線はやぶさで、朝から函館へ

東京から函館へ、新幹線はやぶさの旅は思いのほかあっけないものだった。午前10時45分、東京駅で列車に乗り込むと、首都の雑踏がたちまち遠ざかり、加速度的に北へ向かっていく。車窓から見える景色は、やがて田園から山間部へと移ろう。盛岡、八戸と過ぎ、青函トンネルの入口では景色がぱっと暗くなり、海底をくぐっていくのだ。なんとも奇妙な感覚である。午後3時1分、新函館北斗駅に到着した時の、その駅舎の清潔感と静けさはいささか拍子抜けなほどだった。東京からここまで、わずか4時間あまり。昔なら考えられなかった距離感が、今や気軽に飛び越えられる。函館市内へは車で移動。夕方の函館の街並みは、まだ日差しが残っており、古い街並みと新しい建物が奇妙に混在している。夕涼しい風が吹いており、着いた時の疲労感はさっと消えていった。

居酒屋の活イカ炙り焼き、新鮮な身が透明感を放つ

函館山ロープウェイ、山頂からの夜景は圧巻

函館山ロープウェイで眺める夜景は、予想以上に圧倒的だった。宿にチェックインしてから夜も更けて、いそいそと函館山へ向かったのである。ロープウェイの駅は思いのほか混んでいて、観光客であふれていた。でも一度ロープウェイに乗ってしまえば、その揺れと上昇感はなかなかのものだ。約3分で山頂に到着する。そこからの夜景は——いや、これは本当に素晴らしい。函館の市街地が、二つの湾に挟まれた独特の地形を見下ろす形で、眼下いっぱいに広がっているのだ。夜間の照明が海辺まで続き、まるで宝石を散りばめたような光の毯が眼前に展開する。東京の夜景も悪くはないが、こちらは湾と陸地のコントラストが明確で、地形そのものの美しさが際立っているのだ。しばし呆然と眺めていたのだが、頭上には星も出ており、市街地の光と天空の星が同時に見える奇妙な感覚を味わった。

ホッケの塩焼き、骨からも香りが立ち昇る

海鮮と地酒、夜の函館の居酒屋巡り

山頂からの下山後、腹も減ったことだし、夜の函館の居酒屋へ繰り出すことにした。割烹旅館若松の女将さんに教えてもらった店へ足を向けた。函館の居酒屋というものは、どうもイカに力を入れているらしい。実は函館は本州の中でも屈指のイカの水揚げ地なのだという。その日も、活イカが炙られて出てきた。透明感のある身は、新鮮さの証だ。ホッケも塩焼きで出た。身がぷりぷりで、骨からもしっかり香りが出ている。北寄貝という地元の貝も食べた。これは初めてだ。貝類の中ではやや大ぶりで、肉質は歯ごたえが心地よい。地酒を次々と飲む。函館の地酒というものは、意外と辛口が多く、塩辛い海の幸との相性は抜群だ。夜も更けていくにつれ、カウンター越しに見える大将の仕事ぶりも手つきも、洗練されたものに見えてきた。いや、酒のせいかもしれない。

北寄貝の磯焼き、歯ごたえが心地よい一品

割烹旅館若松への夜遅きチェックイン

居酒屋を出たのは夜中の11時過ぎだった。割烹旅館若松に戻る足取りは、少し酔っており、函館の夜の静けさが一層深く感じられた。海のにおいが漂っており、夏の北国特有のしめりけのある空気が肌に心地よい。夜遅くのチェックインではあったが、宿のスタッフは丁寧に対応してくれた。客室に入ると、窓からは函館の夜景が見えた。さっき山頂から見たのと同じ夜景が、こんどは少し近い距離から眼に入る。なんともいえず落ち着いた気分で、ベッドに横になったのである。

地酒が並ぶカウンター、函館の夜景を眼下に

無理なく楽しむヒント

函館山ロープウェイは夕方5時以降が夜景鑑賞に適していますが、混雑を避けたい方は夜8時以降をお勧めします。夏場の函館は朝夕が涼しいため、肌寒さを感じることもあります。一枚羽織るものを持っていくと無理がありません。居酒屋での飲食は地元の人気店が混むため、可能なら宿泊施設で予約をお願いするか、早めの時間帯での来訪を心がけましょう。また、函館の路面電車は夜間も運行していますので、飲んだ後の移動手段として活用するのも一案です。体力に自信のない方は、無理して夜景見学と飲食を同じ日に詰め込まず、2日に分けるのも得策です。

大人旅のひとこと

函館という町の光が、夜景というかたちで一瞬のうちに眼に映る。それは、この町が港町であり、人間が寄り集まって生きているからなのだろう。山頂からの眺めは壮大であったし、ロープウェイの揺れも含めて旅の手ごたえを感じさせてくれた。けれども、本当に心に残ったのは、夜中の居酒屋での、大将の手つきと、カウンターの向こう側の空気だったように思う。新鮮な海の幸を扱う職人の手つきというのは、言葉にならない何かを伝えてくるものなのだ。そして、その場で飲む地酒というのは、単なる酒ではなく、その土地の気候と風土が液体化したものなのだと、今さらながら気づかされた。函館という町は、東京からわずか4時間で到着できる場所だ。だが、その短さと、実際に足を踏み入れた時の距離感は、まったく別のものなのである。

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